はじめに:ウジャイ・プラーナーヤーマ(Ujjayi Pranayama)とは?
ウジャイ・プラーナーヤーマ(以下ウジャイ)は、例えばアスリートが試合に臨む際、ビジネスパーソンがプレゼンを行う際などに求められる、程よい緊張感とリラックスの最適なバランスをもたらす呼吸法です。
ウジャイ(Ujjayi)は「勝利」「征服」という意味を持ちます。この呼吸法は力強い胸式呼吸を行い、息を吐く際にのど元で独特の「スー」という摩擦音を立てることが特徴です。
期待される主な効果をあげてみましょう。
- 集中力が高まる。
- 頭脳の働きが敏捷になる。
- ヨーガポーズ中にウジャイを行うとポーズの効果が増す。
- 精神的な強さを身につける。
- 肺活量が増し心肺機能が向上する。
- ポジティブな精神が養われる。
【四の呼吸法】ブラーマリーは副交感神経が優位に働き、私たちに癒しをもたらします。
【五の呼吸法】ウジャイは交感神経が優位となり、私達の凛々しさを引き出します。
ぜひここでウジャイをマスターして、人生のさまざまな場面でご活用してください。
ウジャイ独特の摩擦音をマスターしましょう
ウジャイの摩擦音は、コツさえつかめば、誰でもできるようになります。摩擦音を出すためのプラクティスを4つご紹介します。実践しながらマスターしてくださいね。
ウジャイの摩擦音は、潮騒のような音がします。ため息や寝息に似ています。また、『スターウォーズ』のダース・ベイダーの呼吸音にも似ています。
ポイント1:のどと鼻腔の境目に引っ掛けるように息を吐く
息をのどと鼻腔の境目に引っ掛けるように(もしくは当てるように)吐いていきます。そのとき「スー」というにごりの少ない摩擦音が出ます。これをふまえてプラクティス1を実践してみましょう。
プラクティス1
正しい坐法を取ってから、
①お腹を引き締めたまま胸に息を吸い込みます(胸式呼吸の要領で)。
②息をのどと鼻腔の境目に引っ掛けるようにして、摩擦音を立てながら息を吐いていきます。
これらを繰り返します。
咳払いをする時はのどで音が、鼻をかむ時は鼻先で音が出ますね。ウジャイではその中間の、のど元(のどの上、鼻の奥)で音を出します。その際に出てくるのは無声音(声帯を震わせずに出す音)であり、これこそがウジャイの摩擦音です。
「やってみたけど、できたかどうかわからない!」と思われた方、ご安心ください。今度はプラクティス2を通じて練習していきます。
ポイント2:窓や鏡を曇らせる感じで息を吐く
口を大きく開けて「ハァー」と息を吐きます。鏡や窓を息で曇らせるイメージです。もしくは手のひらを温めるように(実際に顔の前に手のひらを向けて)息を吐きます。この時、のどが「軽く引き締まっている」ことを確認してください。
何度か繰り返しましょう。そしてのどが「軽く引き締まっている」ことをキープしながら、今度は鼻から息を吐きます。
プラクティス2
正しい坐法を取ってから、
①ポイント2で確認したように、口を大きく開けて「ハァー」と息を吐きます。この時、のどが「軽く引き締まっている」ことを確認してください。
②鼻から息を満たします。
③今度は、口を閉じて、のどが「軽く引き締まっている」ことをキープしたまま、鼻から息を吐きます。すると、「スー」という澄んだ摩擦音が出ます。これがウジャイの摩擦音です!
④鼻から息を満たします。
これらの手順を繰り返し、ウジャイ音の感覚をつかんでいきましょう。
「まだよくわからないです!」という方も大丈夫です。続いてプラクティス3に取り組んでみましょう。
ポイント3:半分のジャーランダラ・バンダで息を吐く
ウジャイでは【五の技法】ジャーランダラ・バンダを活用します。ジャーランダラ・バンダは、息を吸ったあとに鎖骨の間、のど元のくぼみにアゴを押し当てます。この状態では完全に喉が閉じているため、呼吸はできない状態です。
そして、少しアゴを浮かせ、くぼみから離します。こうして半分バンダがかかった状態で息を吐きます。すると、半分閉じているのどの狭い場所を息が通るため、自然に「スー」という摩擦音が生じます。
プラクティス3
①息を十分に満たします。
②ジャーランダラ・バンダをかけて息を止めます(クンバカ)。
③バンダを半分緩め、摩擦音を立てながら息を吐いていきます。
これらを繰り返します。
いかがでしたか? コツはつかめましたでしょうか? できているかどうか、次のプラクティス4で確認しましょう。
プラクティス4:耳をふさいで
正しい坐法を取って、目を閉じます。人差し指や手のひらで耳をふさいだ状態を作ってから、息を吐きます。これによって、ウジャイ音が聞き取りやすくなります。
①息を十分に満たします。
②ジャーランダラ・バンダをかけて息を止めます(クンバカ)。
③耳を塞いでから、バンダを半分緩め、摩擦音を立てながら息を吐いていきます。
これらを繰り返します。ウジャイ音ができているかどうかを観察し、修正していきます。
実践、ウジャイ!
ウジャイ独特の摩擦音を出せるようになったら、より洗練された音を目指していきます。ウジャイの効果を最大限に引き出すためには、音の質にこだわることが重要です。
- にごりの少ない音を
- 一定の速度と空気量で
息を吐いていきます。
初めは慣れないかもしれませんが、練習を重ねることで徐々に近づいていくでしょう。没入するくらいこの音に集中することで、理想的なマインドに変化していきます。
プラクティス5:胸式呼吸で
胸式呼吸でウジャイを実践します。胸式呼吸では、胸(胸郭)が広がります。おなかが動かないように軽くおなかを引き締めたまま、胸に息を満たしていきます。
その際、肋骨は左右に広がり、胸骨(ネクタイがある部分の骨)が斜め上方に持ち上がります。ポイントは
✔吐くときも吸うときもおなかを引き締めたままにすること
✔吸うときに肩を上げないようにすること(自然に上がるのはオッケー)
に2点です。
①胸式呼吸の要領で息を吸います。
②ジャーランダラ・バンダをかけて息を止めます(クンバカ)。
③バンダを半分緩めて、摩擦音を立てながら息を吐いていきます。
これらを3~10分程度繰り返します。
プラクティス6:『1:4:2の呼吸法』を加えて
1:4:2の呼吸法で、息の長さをコントロールしながらウジャイを実践します。以下のステップからいまのご自分に見合った快適なものをチョイスします(ここではステップ②で表記します)。
- ステップ①:1:1:2(4秒:4秒:8秒)
- ステップ②:1:2:2(4秒:8秒:8秒)
- ステップ③:1:3:2(4秒:12秒:8秒)
- ステップ④:1:4:2(4秒:16秒:8秒)
- ステップ⑤:1:4:2(5秒:20秒:10秒)
- ステップ⑥:1:4:2(6秒:24秒:12秒)
①胸式呼吸の要領で、4秒で息を吸います。
②息を止めて8秒間、ジャーランダラ・バンダをかけます。
③ウジャイ音を立てながら、8秒で息を吐いていきます。
これらを3分から10分程度繰り返します。
プラクティス7:さらにスカ・プールヴァカを加えて
難易度が上がってきました、これまでのプラクティスにある程度慣れてきてから、実践してくださいね。。ご自身が快適な長さを上記からチョイスしてください(ここではステップ③で表記しています)。
①右鼻を閉じ、4秒で左鼻から胸式呼吸で息を吸います。
②息を止めて、12秒、ジャーランダラ・バンダをかけます。
③右鼻からウジャイ音を立てながら8秒で息を吐きます。
④右鼻から4秒で息を吸います(胸式呼吸で)。
⑤息を止めて、12秒、ジャーランダラ・バンダをかけます。
⑥左鼻からウージャイ音を立てながら8秒で息を吐きます。
これらの手順を3分から10分間程度繰り返します。
呼吸法クイズ
問1.「ウジャイ(Ujjayi)」という言葉はサンスクリット語で何を意味しますか?
a) 平和
b) 勝利
c) 調和
d) 静けさ
問2.ウジャイの主な特徴は何ですか?
a) 激しい出入息
b) 吐きながら「ハァー」と音を出す
c) 特有の摩擦音を生成する
d) 長時間息を止める
問3.ウジャイの音質を洗練させる上でのポイントは何ですか?
a) できるだけ大きな音を出していくこと
b) できるだけ長く息を吐いていくこと
c)のどを広げて息を吐いていくこと
d) にごりの少ない音を、一定の速度と空気量で出していくこと
*答えは【まとめの章】最後にあります。
まとめ
【勝利者の呼吸】ウジャイ・プラーナーヤーマは、程よい緊張感とリラックスのバランスを作り出し、あなたを成功に導く力を秘めています。この呼吸法は力強い胸式呼吸を行い、息を吐く際に特徴的な摩擦音を立てることが特徴です。
成功に必要なマインドを養うウジャイは、さまざまな効果が期待されます。集中力の向上や頭脳の働きの活性化、ストレス解消やポジティブ思考の促進、肺活量の向上など、身体と心の健康に良い影響をもたらします。また、ウジャイは他のヨーガポーズと組み合わせることで、その効果をさらに高めることができます。
ウジャイのやり方には、音の出し方とジャーランダラ・バンダの活用が重要です。音の出し方は、のどと鼻腔の境目に息を当てて、摩擦音を出すことを意識します。ジャーランダラ・バンダは、息を止めるときは鎖骨の間のくぼみにアゴを押し当て、息を吐く際にバンダを半分緩める形で活用します。
ウジャイを実践する際には、自分の体調やペースに合わせて行うことが重要です。繰り返しの練習を通じて、この呼吸法の効果を体感していきましょう。
ウジャイ・プラーナーヤーマは、成功への道を切り拓くための貴重なツールです。ぜひこの呼吸法をマスターし、人生において勝利をつかみ取るための力を身につけましょう。
【答え】問1.b) 問2. c) 問3. d)
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