【七の技法】アーサナ×ヨーガ呼吸法:ヨーガの新たなステージへ

pranayama

アーサナとは何か?

ヨーガ修行における三本柱、アーサナプラーナーヤーマ(呼吸法)、そして瞑想。今回はそのうちのアーサナにフォーカスします。アーサナとは一体何であり、呼吸法とどのように結びついているのか? ここで詳しく解説していきます。

ヨーガの古典『ヨーガ・スートラ』(2~5世紀頃に成立)では、八段階の修行システムアシュタンガー・ヨーガを設定しています。

  1. ヤマ(禁戒)
  2. ニヤマ(勧戒)
  3. アーサナ
  4. プラーナーヤーマ
  5. プラティヤハーラ(制感)
  6. ダーラナー(精神集中)
  7. ディヤーナ(瞑想)
  8. サマーディ(三昧)

禁戒と勧戒はヨーガ修行者が守るべき戒律であり、アーサナとプラーナーヤーマが続きます。制感とは感覚のコントロールのことで、ダーラナーからサマーディまでは瞑想に関するものです。

アーサナはもともと坐法を意味し、『ヨーガ・スートラ』では

坐り方は、安定した、快適なものでなければならない

と記されています。当時の修行法は心の寂止を求める瞑想が中心でした。そのため、動くことなく長時間座り続けられ、余計な力の入らない正しい坐り方が重要視されたのです。

正しい坐法のためのアーサナ

身体の強化のためのアーサナ

ヨーガや仏教に共通する修行の要点は、煩悩を取り除くことと言えます。修行者たちは特に「肉体への執着」という煩悩を警戒し、「肉体はかりそめのものであり、本質的な自己ではない」と主張したのです。

中世になると、ハタ・ヨーガが登場し、肉体の重要性が再評価されました。「肉体は悟りを達成するための道具であり、適切にケアして積極的に活用すべきだ」という発想が広がりました。

また、厳しいヨーガ修行に耐えるためには、タフでしなやかな身体が求められました。このためにアーサナがさらに進化し、多様な効果が期待されるようになりました。

それは、柔軟性の向上、自律神経の調整、内臓への刺激、ホルモンバランスの調整、心身のリラックスやリフレッシュ、疲労回復、病気の予防、そして体力強化などです。

プラーナの流れを促進するアーサナ

長年の修行の集積により、ヨーギーたちはヨーガ特有の解剖学と生理学を形成しました。私達の身体には七万二千本とも言われる気道「ナーディ」が存在し、その中を生命エネルギーである「プラーナ」が循環するという考え方が中心にあります。しかし、これらの経路は詰まりやすく、その滞りが心身の不調を引き起こすとされました。

ナーディを浄化し、プラーナをコントロールする試みがプラーナーヤーマであり、その中心にはヨーガの呼吸法が組み込まれました。『ハタ・ヨーガ・プラディピカー』(16世紀頃に成立)によれば、

我々は気道を清掃する方法である、生気に関する法を修練しなければならない。それは上述したアーサナ、いろいろな呼吸法ならびにムドラーと呼ばれる諸法からなっている

と述べられています。

アーサナは、ポーズを取りながら呼吸法を実践します。それがプラーナの流れを助ける役割を果たします。  

ポージングしながら腹式呼吸、胸式呼吸、完全呼吸法、ウジャイなど、さまざまな呼吸法と意識を集中させることによって、プラーナを特定の部位に導き、ナーディの詰まりを解消していきます。 

こうしたアプローチによって、アーサナは呼吸法が目指すプラーナのコントロールを力強くサポートするのです。

呼吸法クイズ

問1:アーサナの正しい坐り方に関する主要な要点は何ですか?
a) 首を前に突き出すこと
b) 安定と快適さ
c) 腰を丸めること
d) 高い重心を保つこと

問2:アーサナが身体にもたらす効果には次のどれが含まれますか?
a) 疲労回復
b) 姿勢の改善
c) 内臓への刺激
d) すべての選択肢

問3:ナーディとは何ですか?
a) ヨーガの瞑想の方法
b) 生命エネルギーを運ぶ経路
c) ヨーガのポーズの名称
d) プラーナの特定の部位

答えは【まとめの章】の最後にあります。

まとめ

ヨーガ呼吸法をより深めるために、アーサナは欠かせない存在です。アーサナはもともとは瞑想のための坐り方を指していましたが、その意味は広がり、後に様々なヨーガ・ポーズが開発されました。

ヨーガ呼吸法との関係を考えると、アーサナには以下のような効果が期待されます。

1.正しい坐法を身につけ、姿勢を改善します。
2.強健な身体をつくることで、呼吸法や瞑想の土台を固めます。
3.呼吸筋をほぐし、ストレッチし、鍛えることで呼吸力が向上し、広く深い呼吸が可能となります。
4.ナーディの詰まりを解消し、生命エネルギーの流れをうながすことで、心身の調和を促進します。

これらの効果を通じて、アーサナはヨーガ修行の基盤を強化し、呼吸法を深化させる役割を果たします。呼吸法とともに、アーサナを日々の練習に取り入れて、その力を最大限に引き出してみましょう。

本稿ではアーサナの重要性とそのヨーガ呼吸法との関連性を探求しましたが、具体的なアーサナの実践方法については別の機会にご紹介させていただきます。アーサナを日々の実践に取り入れ、ヨーガの奥深い世界に足を踏み入れ、心と身体の調和を追求してみてください。

【答え】問1:b) 問2:d) 問3:b)

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