【六の技法】無痛でできる鼻うがい、ジャラネティで快適な呼吸を実現する!

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 ジャラネティ~ヨーガの鼻の浄化法 

はじめに~呼吸法の前に鼻をキレイに

ジャラネティを起床後のルーティンとしてから、15年以上になります。鼻は呼吸する大切な場所、呼吸法をする前に鼻の中の汚れを取り除いてあげることが、私にとって心地よいのです。

そんなジャラネティをヨーガ教室などでオススメすると、ほとんどの方が「痛そう。なんだか怖い」と言います。

たしかにプールや海で泳いだ時、鼻に水が入ってしまうことがあります。あのツーンとした痛み! 嫌ですよね。

しかし、ご安心ください。ジャラネティは無痛でできるです。しかも簡単です。勇気を持って始めてみて、そのスッキリさにやみつきになった方も少なくありません。

ジャラネティとは?

ジャラネティは、ヨーガの浄化法の一つに数えられています。鼻にあたたかい塩水を流すことで、鼻腔を清潔にして、鼻腔の粘膜を強化して、呼吸器系の健康を促進します。

また、古代インドの伝統医療であるアーユルヴェーダの技法としても長い歴史を持っています。サンスクリット語で「ジャラ」(Jala)は水、「ネティ」(Neti)は鼻を意味しています。

ジャラネティに期待される効果

ジャラネティには、さまざまな健康上の効果が期待されます。以下にその一部をあげてみます。 

  • ジャラネティは鼻腔を清潔に保つため、アレルギー症状の軽減や鼻づまりの緩和に効果があります。鼻うがいによって、アレルゲンや異物を洗い流し、鼻腔内の炎症を抑えることができます。 

  • ジャラネティは鼻腔や喉の粘膜を保湿し、乾燥や感染症から守る役割も果たします。健康な鼻腔の状態は、免疫システムの強化や風邪やインフルエンザなどの感染症予防にもつながります。

  • ジャラネティは呼吸の改善にも効果があります。鼻うがいを行うことで、鼻腔の通気性が向上し、鼻呼吸が促進されます。鼻呼吸は、外気のゴミや細菌、ウイルスを除去し、加湿加温の効果があります。

無痛でできるジャラネティの実践方法

無痛のための2つのポイント

以下の2つのポイントを押さえて行うだけで、ジャラネティは無痛でできるようになります。

無痛ポイント1:人肌程度のぬるま湯

無痛ポイント2:ひとつまみの塩

この2つのポイントの詳細これからご説明します。

ステップ1: あたたかい塩水を準備

人肌程度のぬるま湯と塩を用意します。塩は食塩でも可能ですが、天然塩の方が望ましいとされています。

合わせて生理食塩水(濃度0.9%)にします。「150ccでティースプーン半分程度」が目安です。塩が溶けるようにかき混ぜます。 

ステップ2: ネティポットを使用 

ジャラネティのための容器ネティポットを用意します。小さめの急須でも代用できます。ネティポットは、その注ぎ口が鼻の穴に差し込みやすくなっているのが特徴です。

ネットで比較的安価で入手できます。そこに上記のあたたかい塩水を7,8分目まで入れます。

これは以前の私の場合ですが、起床時に白湯を飲む習慣があり、そのとき余分に沸かしたお湯を、ポット1/3程度いれて塩を溶かしてしまいます。

さらに水道水を注ぎ人肌程度にぬるめるというやり方をとっていました。毎朝のルーティンですので、できるだけ余分な作業を省くのがいいですね。

いま現在の私は水道水をそのまま使っています。鼻が刺激に強くなったのか、あたためる必要がなくなってしまいました。

ステップ3: 鼻腔の洗浄

シンクや流し台の前に立ち(座ってでも可能)、上体を前傾(前かがみに)します。そして首を横にねじります(顔ごと横を向きます)。そして口を半分開けておきます。

ポットの先を上側の鼻の穴に軽く差し込み、あたたかい塩水を流し入れます。 鼻で吸い込む必要はありません。そのとき口から息を吐いていきます。最初のうちは「あーーーー」と声を出してもいいでしょう。

すると鼻の中を通過した塩水が、下側の鼻から自然に流れ落ちていきます。これでオッケーです。これで塩水は鼻腔内の汚れやアレルゲンを洗い流してくれています。

口を閉じていると喉の方にお湯が流れることがありますので、開けておきましょう。 お湯の半分の量を注ぎ込んだら、顔を反対側に向けて、もう一方の鼻にも同じようにお湯を流し入れます。

ステップ4: 鼻をかむ

鼻うがいが終わったら、片鼻を閉じて反対側の鼻をかみます。鼻の中に残った余分な水気や粘膜、汚れを飛ばすように出します。鼻をかむ際には、力を入れすぎないようにしましょう。

【六の呼吸】カパーラバティ浄化呼吸法の要領で10回から20回程度、息を吐くといいでしょう。鼻をかむときにティッシュを使用すると衛生的です。

ステップ5: ネティポットの洗浄と乾燥

ネティポットを使用した後は、洗い流してしっかり乾燥させます。清潔な状態で管理させます。

以上が、詳細なジャラネティの手順です。次に、実践時の注意事項を詳しく見ていきましょう。

ジャラネティの注意事項

ジャラネティ(鼻うがい)を実践する際には、以下の注意事項に留意します。

1.鼻の疾患

蓄膿症、慢性の鼻詰まりなど鼻の疾患を持つ方は、あらかじめ専門医にご相談ください。

2.使用する水の品質

使用する水は、清潔で安全なものを使用しましょう。日本の水道水を使用するのであればまず問題ないかと思いますが、特に海外で実践するときは水の品質には十分にご注意ください。

3.正しい姿勢

ジャラネティを行う際には、正しい姿勢を保つことが重要です。塩水が流れにくいときは、頭や首、あごの角度を微細に調整します。それで塩水が流れやすくなったり、流れにくくなったりします。

4.鼻をかむ時は適度な力で

ジャラネティが終わったら、鼻をかむことで余分な水や粘膜、汚れを取り除きます。しかし、強くかむと鼻や耳へ負担がかかる可能性があります。適度な力で鼻をかみましょう。

5.ネティポットの洗浄と保管

使用したネティポットは、使用後にきちんと洗浄し、乾燥させることが重要です。塩水の残留や湿気が原因となり、雑菌やカビの繁殖を引き起こす可能性があります。

6.個人用のネティポットを使用

ネティポットは個人使用に限定しましょう。家族や他の人と共有することで、感染症や病原菌が拡散するリスクがあります。各自が個人用の鼻うがい器を使用することで、衛生面を確保します。

よくある質問

「いつ、どれくらいの頻度でやったらいいですか?」

ジャラネティ(鼻うがい)は、鼻の中の汚れやアレルゲンを除去し、鼻の健康をサポートする方法です。一般的には以下のようなタイミングや頻度で行うと効果的です。個人の状況によっても異なってきますので、具体的なアドバイスが必要な場合は専門家や医師に相談しましょう。

  1. 日常のルーティンとして:アーユルヴェーダでは、朝が浄化(デトックス)の時間帯とされ、この時間にジャラネティを行うことが推奨されています。鼻うがいは歯磨きやのどのうがいと同様に日常的なルーティンとして行えます。
  2. 花粉や黄砂が舞っている時期:外出から帰った後に鼻うがいを行うと助けになります。
  3. 風邪や鼻炎などの症状がある時:鼻の詰まりや症状がある場合には、軽度であれば鼻うがいで鼻の中の余分な粘膜やアレルゲンを除去し、鼻通りを改善することができます。
  4. 鼻の中が汚れたと感じるとき:外出先で埃や汚れを吸い込んだと感じたり、鼻の中に不快感がある場合には、鼻うがいで清潔に保つことができます。
  5. 風邪やインフルエンザが流行っている時期:のどのうがいと同様に鼻うがいをすることで予防効果が期待されます。

頻度については、日常的なルーティンとして行う場合は、1日に1回程度が適切とされています。ただし、特にアレルギーなどの症状がある場合は、専門家の指示に従って頻度を調整しましょう。

また、初心者の方は鼻うがいの後に鼻をかんでも、鼻腔内に水気が残っている場合もありますので、就寝前の実践は避けておきましょう。

「やってみたけど、鼻の中を水が通りません」

1.鼻がつまっている:多くの場合はこれが原因です。鼻がつまっていると当然水は流れません。鼻の疾患がない方でも、【ネーザルサイクル】といって、一日の中で鼻は左右交互に通ったり閉じたりのサイクルを生理的に繰り返しています。

軽度でしたらジャラネティの刺激で開通することがあります。また、左右の鼻を変えると流れることもあります。

通らないときは「まあ、そういうときもある」と、いい意味であきらめて、また次回に実践しましょう。

呼吸法において、いまの鼻の状態を知ることは大切です。ジャラネティは鼻の健康状態を測る上でも役立ちます。なお、慢性鼻炎や蓄膿症などの重度の症状がある場合は医師にご相談ください。

2.首や鼻、あごの角度:初心者の方は適切な姿勢がわからず、なかなか塩水通らないことがあります。首や鼻、あごの角度を微調整してみます。

ちょっとした調整だけで流れはじめることがあります。それでも難しい場合は、鼻のつまりを疑うか、専門家に見てもらいましょう。

ジャラネティとアーユルヴェーダ

アーユルヴェーダとは?

アーユルヴェーダは、古代インドから伝わる伝統医学であり、健康とバランスを追求するための総合的なシステムです。ヨーガと互いに影響し合って発展してきました。

アーユルヴェーダの基本概念には以下のような要素が含まれます。主題ではないので、ここでは簡潔にご紹介します。

  • トリ・ドーシャ: アーユルヴェーダでは、体内に存在するバイオエネルギーとして「トリ・ドーシャ」という概念を重視しています。トリ・ドーシャは、ヴァータ(風)ピッタ(火)カパ(水・土)の3つのエネルギーの組み合わせで構成されています。

  • ドーシャの不均衡: アーユルヴェーダでは、トリ・ドーシャの不均衡が病気や不調の原因となると考えられています。トリ・ドーシャが適切なバランスを保つことが重要であり、不均衡が生じると身体や精神の不調が現れるとされています。

アーユルヴェーダの視点から見たジャラネティの効果

ジャラネティは、アーユルヴェーダにおいても重要視されています。以下に、アーユルヴェーダから見たジャラネティの効果について簡単に説明します。

  • トリ・ドーシャのバランス調整: ジャラネティは、トリ・ドーシャのバランスを調整する効果があります。温かい塩水が鼻腔を通り、鼻腔内の余分な粘液や異物を洗い流すことで、トリ・ドーシャのバランスが整い、身体の調和が促進されます。

  • ヴァータの緩和: ヴァータ(風)は身体の動きや呼吸を司るエネルギーであり、不均衡が生じると不安定な状態や乾燥、神経過敏などの症状が現れるとされています。ジャラネティは、温かい塩水が鼻腔内を通り、乾燥を緩和し、鼻づまりを解消することでヴァータのバランスを整える効果があるとされます。

  • ピッタの冷却効果: ピッタ(火)の不均衡は、炎症や過熱の症状を引き起こすことがあります。ジャラネティは、塩水に含まれる塩が鼻腔内の炎症を抑え、冷却効果をもたらすとされています。これにより、ピッタの過剰な熱を和らげ、鼻づまりや炎症の緩和に役立つと考えられています。

  • カパの浄化効果: カパ(水・土)の不均衡は、鼻づまりや粘液の過剰生成を引き起こすことがあります。ジャラネティは、塩水が鼻腔内の余分な粘液や異物を洗い流す効果があります。これによって、カパのバランスを整え、鼻づまりや粘膜の浄化を促進すると考えられています。

アーユルヴェーダの視点から見たジャラネティの効果は、トリ・ドーシャのバランス調整や不均衡の緩和に関連しています。ジャラネティは自然で優れた方法であり、アーユルベーダの理念と調和しています。

呼吸法クイズ

問1:ジャラネティの主な目的は何ですか?
a) 柔軟性の向上
b) 鼻腔の浄化
c) 集中力の向上
d) 呼吸筋の強化

問2:ジャラネティが無痛であるためのお勧めの水温はどれくらいですか?
a) 冷水
b) 沸騰したお湯
c) 室温の水
d) 人肌程度のぬるま湯

問3: ジャラネティに使用する塩水の濃度はどの程度ですか?
a) 100%純水
b) 10%の塩水
c) 0.9%の塩水
d) 50%の塩水

答えは【まとめの章】の最後にあります。

まとめ

ヨーガには、心と体の浄化を促す魅力的な健康法が数多くあります。その中でも、ジャラネティ(鼻の浄化法)は特に注目すべきメソッドです。

ジャラネティは鼻の通りを改善し、アレルギー反応を軽減する効果があります。

手順は簡単で、あたたかい塩水を使って鼻腔を洗浄するだけ。特に花粉症や風邪のシーズンには予防的な効果を発揮します。

日常的なルーティンとして取り入れるだけで、快適な呼吸とより健康的な生活が実現できるでしょう。

【答え】問1:b) 問2:d) 問3:c)

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