マヘンドラナート・グプタ(M)の生涯(1):『不滅の言葉』の著者とラーマクリシュナとの出会い

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マンドラナート・グプタは師ラーマクリシュナの説法や出来事を日記に記録し続け、師の死後、驚異的な記憶力により克明に文章化しました。後にそれは『不滅の言葉(ラーマクリシュナの福音)』として世界中で出版されました。『不滅の言葉』は、大聖者のリアルを提示した、人類史上において稀有なる聖典となっています。

マヘンドラナート・グプタはその著者として慎ましく『M』と自身のことを表記しています。そのMとはいったいどのような人物だったのでしょう? また、どのように『不滅の言葉』が綴られたのでしょうか? これから観ていきましょう。

5歳の時の記憶

通称『M』ことマヘンドラナート・グプタは、1854年7月14日、カルカッタに生まれました。両親ともにブラ―フミン(バラモン)階級で、父親はカルカッタの高等裁判所に勤めていました。

マヘンドラ少年はたいへん性格の良い子供でした。5歳のときに、彼は母に連れられて山車祭を見に行きました。その帰り道にドッキネッショルの村に当時ラ二・ラスモ二によって建立されたばかりのカーリー寺院に立ち寄りました。

ドッキネッショル寺院

白く輝く寺院を見て回っているうちに、マヘンドラ少年は迷子になり、シクシク泣いていました。そのとき誰かがやってきて、彼をなでて安心させて、「この子はどなたの子ですか? 彼のお母さんはどこですか?」と声を上げてくれました。

Mは「その出来事は、胸に鮮やかに印象づけられ、いつもありありと思いうかべることができた」と後に述べています。彼は「この人物こそが聖ラーマクリシュナ本人ではなかったか、師は早くも、子供時代に自分を慰めに来てくれたのではないか」と思っていました。

Mの少年時代

マヘンドラはずば抜けた記憶力を持つ少年でした。試験はいつも一位か二位の成績でした。彼は13歳から日記をつけ始めました。彼の日記には例えば、

「日の出の時刻に、私は地面にひれ伏して父母にあいさつをした」

「学校へと向かう途中、いつものように(タンタニアの)カーリー女神の寺院とシーターラー女神の寺院に寄って、彼女たちに礼拝した」などの信心深い姿が記されています。

 

マヘンドラ少年は敬愛する母の愛の中に、宇宙の母の姿を見ていました。母が早くに亡くなったとき、彼はひどく涙しました。ある夜の夢の中で母が現われ、このように言いました。

「わたしは長い間あなたを守護してきました。これからもそうし続けるでしょう。でも、あなたにはわたしが見えないのよ」この言葉は、生涯を通じてマヘンドラを支えました。

M、自殺を考える

生まれつきの頭の良さと真面目な努力によって、マヘンドラはカルカッタ大学の入学試験に合格し、その年の評価リストでは二番の成績でした。在学中の1874年にニクンジャ・デーヴィーと結婚し、1875年にカルカッタのプレジデンシー・カレッジを三番の成績で卒業しています。

マヘンドラは教師の仕事につきました。三つの学校の校長を勤め、英語、心理学、経済学などを教えていました。

その一方でマヘンドラは、大家族の一員として生活しながら、耐え難い家庭内の問題に直面していました。彼の立場、そして若い妻の立場は、家族の中でひどく複雑なものになりました。繊細でインテリな若者であった彼は、自殺することを考えました。

1882年2月25日の夜10時、マヘンドラは家出をしました。妻も連れ添い、馬車でこっそりと通りへ出ました。真夜中に馬車が壊れてしまいましたが、近くの姉の家に避難してその夜を過ごしました。

ラーマクリシュナとの出会い

2月26日の朝、M(マヘンドラ)は、ドッキネッショルのカーリー寺院に聖者がいることを耳にしました。自殺する前に聖者に会っておくのも悪くないと、ドッキネッショルへ足を運びました。

Mが聖者の部屋の中を覗き込むと、まず始めにラーマクリシュナが目に入りました。彼は木製の簡易ベッドに座り、微笑みを顔に浮かべ、神の話をしていました。部屋は人でいっぱいで、みな床に座り、師の唇からもれる言葉に聞き惚れていました。

「ああ、なんという魅力的な方なんだろう! なんという素晴らしいことを言うのだろう!」Mは、感動のあまりに言葉を忘れ、立ち尽くしました。

「まずはこの寺院を見てこようか」と思い、Mはいったん外に出ました。すると、ドラ、鐘、太鼓、シンバルからなる夕拝の美しい音楽が聞こえてきました。

花の香りを含んだ柔らかい春風が吹き、月がのぼり始めていました。その銀色の光がガンガーの河面や12のシヴァ聖堂、ラーダカンタ聖堂およびバヴァターリニ聖堂を照らしていました。これらの聖堂を詣で、マヘンドラナートの心は喜びに満たされました。

再び部屋に戻ると、ラーマクリシュナはひとりで座っていました。Mがあいさつをすると、彼はいくつか優しく尋ねました。「どこに住んでいるのかね?」「仕事は?」「何の用で来たのか?」

Mはそれらに答えましたが、ラーマクリシュナがしばしば忘我の状態に入っていることに気づきました。Mがいとまをつげたとき、彼は「またおいで」と言いました。

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